October 29, 2005

神様を細部に宿セ。

イスの三面図を作った。

青山のcasa materiaさんに渡して、北海道の工房に送ってもらった。

デザイン画を3DCGで作ったので、三面図もわりと簡単。


それを元に実寸の設計図をつくってもらって

こちらに送ってもらった。デカ。

もう長い間、パソコンだけでモノをつくってる。

基本的には作るトキも見るトキも

大きさはパソコンのスクリーンサイズだ。

だから 1/1 のデカい図面とか見せられると

あー、本当の本物の実物を

作ってもらってるんだなって実感がわく。

強度弱くてあんまり座れないけどナ。





さて。オレの作った三面図と

送られてきた図面にはいくつかの違いがあった。

まずちょっと無骨になっていて、

三角形のハンドルの穴が小さくなっていた。

全幅を変えずに精度を上げて

板の厚みを厚くしてるとこなんかは

さすがと思った反面、全体的な印象が

微妙に違ってるのが気になった。

でもその理由が座面の部分の

厚みを増したことに起因する事に

気づいたので仕方ない。

ほかの職人さんにもさんざん

指摘されてきた部分だったのだ。

角に関しての考え方が少し違っていた。

北海道からの図面では、

丸める角と丸めない角にメリハリがついていた。

でもオレのデザイン画では、多かれ少なかれ

ほとんどの角を丸めている。

角をどうデザインするかってことは

平面と平面をどのようにつなぐか、ということでもある。

角をまるめないと、平面と平面はつなぎ目で

とつぜん色が変わる。

角をまるめると、平面のつなぎ目の色が

やわらかくグラデーション的に変化する。

それから角がとがってると光のハイライトが角に乗りにくい。

でも丸まった角には写りこんだ光がピカピカ反射する。

車のデザインが曲面を多様したり、一見形としては

無駄なラインが存在するのも、光をのせるための

鏡のカタマリみたいなものと思うと納得できる。

今回のイスでは全体のシェイプを見せるだけじゃなくて

複雑なギミックもピカピカ目立たせたかったので角を丸くした。

それに角が丸いなら角がとがってるよりも

やわらかくて楽しい印象が与えられる。

資料をつくって、できるだけ角を丸めてもらうよう指定を出した。

よく全体のカタチが大事か、細部のカタチが大事かって

議論があったりするけど、どっちも大事だ。

でも全体のカタチをうまくやれる人は多いけど

細部のカタチをきちんとこだわって作れる人は少ない。

それに細部にこだわりすぎて全体のカタチが崩れていく場合もある。

全体のカタチを意識しつつ、

細部を詰めていける余裕がオトナのデザインなのだ。




なんて感じで北海道の工房とやりとりをしてたんだけど、

やっぱ大事で難しいモノを作ってもらってるんだから

ちゃんとお会いしてお願いしないとダメだ!

ってことで、旭川の工房に職人さんに会いに行ってきたゼ。

Face to face ナ。